募集要項とは「企業の第一印象」!欲しい人材に好印象を与えるために知るべきこと

image_募集要項とは「企業の第一印象」 求人・採用マーケティング

この記事に訪れたあなたは、募集要項とは一体なんなのか疑問に思っているでしょう。

結論からいうと、募集要項とは「求職者に伝えなければならない情報をまとめたもの」です。その内容は主に以下の通りです。

【募集要項に記載する内容】

  • 業務内容
  • 就業場所
  • 勤務時間
  • 給与
  • 保険に関する事項
  • 契約期間

求職者が業務をする上での基本的な情報が記載されています。そのため、「最低限の情報を記載しておけば良い」と間違った認識でいる企業が多く存在します。

しかし、募集要項は工夫しだいで優秀な人材を次々と引き寄せることができる非常に重要なものです。なぜなら、募集要項は求職者が最初にあなたの企業に触れる情報=「第一印象」であるためです。

人間関係と同じで第一印象が良ければ、興味がわきますよね。

そこでこの記事では、「募集要項とはそもそも何か」〜「魅力的な募集要項を作成する方法」を具体的に解説していきます。

この記事を読んで、早速募集要項を作成し始めましょう。

募集要項とは

募集要項_イメージ

募集要項とは、募集内容や採用条件などが記載された「求職者に伝えなければならない情報」のことです。応募者が最初に目にするものであるため、いわば「企業の第一印象」の役割をになっているとも言えるでしょう。

数ある企業の中から選ばれ、応募してもらうためには、応募者が求めている情報を正しく、わかりやすく伝えることが重要です。
また、「職業安定法第5条」という法律の中では以下のような条文が存在します。

労働者になろうとする者又は供給される労働者に対し、その者が従事すべき業務の内容及び賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。

このように、募集要項は応募者に対して法律に基づき正しい知識をもって、正確な情報を記載することが大切です。

募集要項に書くべき内容

具体的に募集要項に記載する内容は以下の通りです。

【募集要項に記載する内容】

  • 業務内容
  • 就業場所
  • 勤務時間
  • 給与
  • 保険に関する事項
  • 契約期間

いずれも業務を行う上で、労働環境を左右する非常に重要な情報です。上記の内容を求職者と使用者がお互いに合意した状態で選考を行わなければ、入社後のトラブルに繋がってしまいます。

職業安定法42条でもトラブルを防ぐために、以下のような両者の認識のズレを防ぐ目的の条文も存在します。

労働者に誤解を生じさせることのないように平易な表現を用いる等その的確な表示に努めなければならない。

このように、求職者にとって重要な情報である情報を事前に共有する目的で作成するのが、募集要項ということになります。

求人票との違い

求人活動を行っていると、募集要項と同時に「求人票」という言葉を聞くことがあるでしょう。多くの人が、この求人票と募集要項の違いを理解していないようです。求人活動をしてるあなたは、この機会に両者の違いを理解しておきましょう。

【募集要項と求人票の違い】

名称概要
募集要項法律上定められている求職者に与える必要がある情報をまとめたもの
求人票求人媒体へ提出する書類

募集要項が求職者に与える「情報」を指すのに対して、求人票は各種求人媒体に提出する「書類」のことを指します。

そのため、「求人票に記載されている募集要項」といったような使われ方をします。

ちなみに、求人票のフォーマットや記載内容は求人を掲載する媒体によって異なります。一般的には、以下のような情報を記載することが多いので、覚えておきましょう。

【求人票に記載する内容】

  • 募集要項
  • 会社情報
  • 会社のアピールポイント

募集要項に最低限書くべき6項目の内容

募集要項_イメージ

応募者との間のトラブルを避けるために最低限記載しておきたい項目は以下の通りです。

【募集要項に記載しておくべき内容】

  • 業務内容
  • 就業場所
  • 勤務時間
  • 給与
  • 保険に関する事項
  • 契約期間

それぞれについて、具体的にどのように記載するべきなのか確認していきましょう。

募集要項に記載する内容①業務内容

業務内容を記載する際のポイントは「できるだけ入社後の業務シーンをイメージできる状態に近づけること」です。

具体性が全くない業務内容を記載しても、「あなたの会社でなければいけない理由」もなく、記憶にも残らない募集要項となってしまいます。当然、その結果、求人効果もなく、欲しい人材も集まりづらくなるでしょう。

例えば良い例と悪い例は以下の通りです。

【業務内容の良い例・悪い例】

悪い例一般的な事務作業
良い例書類の作成や管理、データ入力などをお任せします。フォーマットがありますので、未経験でもご安心ください。そのほか1日10組ほどの来客にも応対していただき、お客様と営業社員とつなぐ役割をしていただきます。

良い例のように業務内容の詳細や割合、頻度など仕事内容を具体的に記載することでイメージしやすく安心感にもつながります。

募集要項に記載する内容②就業場所

就業場所は通勤時間の目安になるため、詳細に記載しましょう。勤務地の市区町村、最寄り駅など住所や交通機関の情報を記載します。

勤務地が入社後の配属によって複数ある場合は、「〇〇県(市内)の店舗(支店)に配属」と記載があれば、求職者もイメージしやすくなります。またリモートワークが可能であれば、就業場所に記載すると求職者にとって大きなメリットと感じられることも。

入社後に就業場所が違うことで、通勤時間に負担がかかってしまったとミスマッチが起こらないよう、予め記載しましょう。

募集要項に記載する内容③勤務時間

勤務時間を明確に記載することもトラブルを防ぐ上では重要です。その際には、以下の4つの時間を必ず明確にしましょう。

【勤務時間を記載するポイント】

  1. 拘束時間
  2. 実働時間
  3. 休憩時間
  4. 残業時間(みなし残業時間)

「勤務時間」と一言に行っても上記のように様々な分類があります。

実際に拘束されている時間が分かれば、入社後のイメージがつきやすくなります。休憩時間や残業時間においても同様です。

時折、残業時間が長い傾向にある企業が募集要項で誤魔化すためにあえて、記載していないケースが存在します。しかし、そのようなことは絶対に避けるべきです。

なぜなら、残業時間を誤魔化す企業は多くの場合に以下のような状況に陥ってしまうためです。

【残業時間を誤魔化す企業が陥る状況】

  • 応募者減少
  • 優秀な人材を取りこぼす
  • 離職率の増加

残業時間を正直に明記している企業が多い中で、下手に誤魔化してしまうと「何か隠そうとしている」と簡単に勘付かれてしまいます。そうなると、応募者も減りますし、それに伴い優秀な人材も取りこぼしてしまうでしょう。

また、入社後のギャップに苦しみ、離職する人も増えるかもしれません。

仮に残業時間が平均よりも長い傾向にあったとしても、それ以外の強みを提示することでカバーできる可能性もあります。(例えば、残業代について明記し、平均よりも給与が良いことをアピールするなど)

決して嘘はつかずに記載するようにしましょう。

募集要項に記載する内容④給与

募集要項における「給与」の記載は非常に重要です。なぜなら、この給与に関する記載が最もトラブルになる可能性が高いためです。

実際に、厚生労働省が発表している「ハローワークにおける求人票の記載内容と実際の労働条件の相違に係る申出等の件数」によると、以下のように給与に関する申し出が最も多いということがわかっています。

ハローワークにおける求人票の記載内容と実際の労働条件の相違に係る申出等の件数

(出典:厚生労働省:「ハローワークにおける求人票の記載内容と実際の労働条件の相違に係る申出等の件数」)

そこで、この項目では「給与」を記載するときは以下の5つのポイントをチェックしておきましょう。

【給与の記載について確認するべきこと】

確認事項概要
最低賃金を下回らない厚生労働省のページ、または地域別最低賃金全国一覧を基に最低賃金を下回っていないかを必ず確認する
賃金形態の区分時給・日給・月給を明記する
基本給「必ず支払われる金額」を明記する。残業手当や家族手当、住宅手当など該当者のみに支払われるものは「社内規定により、対象者のみ支給」と注釈をしておく
定額的に支払われる手当定額的に支払われる手当とは、採用する全員に毎月定額的に支払われる以下のような手当のこと
・役職手当
・技能手当
・資格手当
・地域手当
競合との差別化できるポイントであるため、積極的に記載したい。
昇給や賞与の有無昇給や賞与に関しては、募集要項のメリットの一つ。但し社内規定において、確実であるものを記載する。会社の業績や、個人の実績による昇給や賞与は「過去実績あり」等の表記にする。

募集要項に記載する内容⑤保険に関する事項

保険に関する事項とは、社会保険に関する項目です。社会保険とは健康保険・厚生年金・労災保険・雇用保険の4つです。雇用保険と労災保険は、全ての企業に加入が義務づけられています。 

重要な項目なので、必ず記載するようにしましょう。

募集要項に記載する内容⑥契約期間

契約期間とは改正労働基準法により、労働契約の上限が3年までと定められました。但し高度な技術職や、高齢者など例外もあります。募集要項に契約期間を記載するときは、「正社員」「契約社員」「試用期間の有無」など、はっきりと明確に記載します。

求人効果が上がる募集要項作成の準備

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せっかく時間と手間をかけて募集要項を制作するのですから、「まさに求めている人材」が振り返るようなものを目指しましょう。そのためには、募集要項制作の前に以下の分析を行うことをおすすめします。

【募集要項を制作する前に行うべき分析】

  1. 自社分析
  2. 求職者分析
  3. 競合分析

もちろん、上記のような分析を行わなくても募集要項自体の作成は可能です。わざわざ分析に時間をかけたくない人もいるでしょう。

しかし、この3つの分析をして作成した募集要項とそうでないものの求人倍率は大きく変わります。トラブルや採用のミスマッチを起こさないためにも必ず確認するようにしましょう。

自社分析

ハローワークや求人サイトを確認する限り、ほとんどの企業の募集要項は「似たり寄ったり」です。どこも特有の「色」がなく、面白みにかけると感じるでしょう。

募集要項の理想は、「あなたの会社でないといけない理由」が明確に伝わることです。

その観点で、まずは自社分析が必須と言えます。具体的には以下のように項目ごとに自社の強みを書き出してみましょう。

自社分析の項目の例概要
他社より誇れるもの強みを明確にすることで成長できる企業というイメージに繋がる創業〇〇年と記載することで、老舗であることがわかる
仕事内容未経験可。経験者優遇などフォロー体制が整っている。達成感を味わえる。インセンティブが支給される。
職場の雰囲気年齢層がイメージできるような内容を記載することで、よりイメージしやすくなる落ち着いた年齢でアットホームな環境。若手が多く、活気がある。子育て中の社員多数

これらの内容を積極的に募集要項に盛り込むことで、求めている人材に刺さりやすくなります。

「あなたの会社でないといけない理由」を明確にしましょう。

求職者分析

求職者(ターゲット人材)について分析することも、魅力的な募集要項を制作する上では非常に重要です。

ここで分析するべきポイントは以下の通り。

【求職者分析のポイント】

  • 求めている情報
  • 人物像
  • 転職動機
  • これまでの経歴
  • 前職を辞めた理由

これらは、「採用マーケティング」の記事で詳しく解説しています。成果を高めるための採用活動を行いたいあなたは必ず確認しておきましょう。

競合分析

競合とは、自社の求める人材を奪い合う可能性がある企業のこと。どのような企業が競合となるか、競合となる企業がどのような採用活動をしているのかを分析します。

どんな企業が競合になるのかを知るには「面接で応募者に他に受けている企業を聞く」「エントリー時にアンケートに記載してもらう」「新入社員にヒアリングする」など、いくつか方法があります。その中で求人情報をチェックする場合のチェックする項目は、

・競合となる企業が、どのようにアピールしているか

・給与を自社と比較する

・福利厚生の充実度を自社と比較する

応募者へのアピール方法は、事前に知ることで対策が可能です。給与や福利厚生といった待遇面を知っておくと、条件比較の判断ができます。

募集要項作成のコツ

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実際に募集要項を作成する前に、作成時の全体の流れと6つのコツをご紹介します。

項目は以下の通りです。

a.応募するハードルを下げる

b.求人効果を上げる表現を使用する

c.就職後の状況をイメージできる工夫をする

d.他社ではなくあなたの企業に応募する明確な理由を考える

e.企業の強みを明確に押し出す

f.全項目をできるだけ数値化する

それぞれの項目について、詳しく解説していきます。

応募するハードルを下げる

募集要項を作る際に、優秀な人材に来てもらいたいという想いから「応募資格」に具体的な条件を多く記載してしまいがちです。必須スキルではない条件も記載してしまうと、求職者は「条件をすべて満たしていないと応募できない」「採用されるには難しい」と感じてしまいます。

・応募資格はわかりやすく、最低限必要なスキルや経験を記載する

・未経験でも可能であれば、記載する

競合になる企業と待遇面が同じでも、応募するハードルが高ければ集まりません。多くの候補者を集めるためにも、応募するハードルを下げることが大切です。

求人効果を上げる表現を使用する

候補者を増やすためには、募集要項に書かれている情報が判断材料となります。必要な項目を埋めるだけではなく、書き方によって応募される数が影響します。

例えば「未経験可」と記載するよりも、「職種未経験者も歓迎。実際に未経験者が活躍しています」と記載するほうが安心感につながり、応募しやすくなります。

求める人材を明確にイメージして、どんな情報が知りたいのかを意識すると求職者目線でアピールできます。

就職後の状況をイメージできる工夫をする

募集要項に記載する際には、どれだけ入社後のイメージができるかが重要です。求職者が入社後に望むことを理解して、自社ができるアピールポイントを盛り込む必要があります。具体的にイメージできる例をご紹介します。

・年収を高めたい、仕事の結果を評価してもらいたいと希望する求職者へ

 →20代が中心となり、プロジェクトを任されている社員もいます。

 →入社3年で、月収50万以上も

・育児と両立して働きたいという女性に向けて

 →お子さんの学校行事等にも配慮します。

 →時短で勤務している正社員もいます。

このように自社が求める人材と、求職者が求める希望をしっかりと明確にすることで募集要項の書き方が変わります。

他社ではなくあなたの企業に応募する明確な理由を考える

競合調査をしていると、待遇面や職種など似ている企業が現れます。その中で自社が第一希望となる人材を増やすための理由を考えます。

・自社の強みを考え、エピソードを盛り込む

求職者にとって、入社後どのように自分が活躍できるか、キャリア形成できるかを考えます。例えば社員へインタビューをして、入社後の自身の成長過程や将来像をヒアリングします。どんな場面で、どのようにサポートがあったか、今後の展望をエピソードとしてまとめることで、自社ならではの人間関係や評価基準などが反映されます。

企業の強みを明確に押し出す

社員からのヒアリングにより、入社後の成長やキャリア形成の理由が見つかったら「自社の強み」として明確に押し出していきます。

例えば「新人の頃に営業活動がうまくいかず、先輩社員が寄り添ってサポートしてくれた。」というエピソードを社員の感想として記載すると、入社後の安心感につながります。

他には「難しいと思えたプロジェクトも、チーム一丸となって取り組み社長賞をいただいたこと。」というエピソードなら、皆で協力しながらキャリアを積み、評価してもらえる企業だという強みになります。

自社で活躍してくれている社員の声が、そのまま強みとなります。他社との差別化を図るには大変有効な手段です。

全項目をできるだけ数値化する

上記のステップで募集要項を作成したら、最後に数値化できる箇所がないかを確認します。

「若い社員が管理職になっています」

「20代で入社し、2年で役職についている社員もいます」

この2つの文面からだと、後者のほうが具体的で説得力のあるものになっています。

自社の成長率や受賞歴、ユーザー数など数値化できる項目ははっきりと明記することで自社の魅力や強みが伝わります。

募集要項に記載してはいけないこと

募集要項_イメージ

募集要項に記載するときに、禁止されている表現があります。知っておかないと、法令違反となることも。後にトラブルにならないよう把握しておきましょう。

性別を限定する

男女雇用均等法により、性別による差別を禁止している項目です。

・男女の採用人数に差をつけて記載すること

・「主婦」「女子」など特定の性別を歓迎する表記は禁止

上記に注意し、〜マン・〜レディなどの表現も使用禁止です。募集要項に記載するときは、性別を問わない表現にしましょう。

年齢を限定する

雇用対策法により、応募者の年齢を制限した募集要項は禁止されています。

・「〇〇歳のスタッフが活躍しています」

・「〇〇歳からの応募を歓迎します」

前者は事実に基づいた表記なので、記載が可能です。後者は採用時に年齢が考慮されるため禁止です。

その他差別的な表現

国籍・人格・容姿なども募集要項には記載できません。住んでいる地域も禁止なので「〇〇にお住まいの方は歓迎します」といった表現も禁止です。知らず知らずのうちに記載してしまいがちな表現でも、特定の応募者を制限することになるので、見落とさないように気を付けましょう。

禁止表現を募集要項に記載すると、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金刑が科せられます。行政指導や社会的制裁にもつながりますので、細心の注意が必要です。

募集要項についてのまとめ

ここまで募集要項についてまとめてきましたが、いかがでしたか。

多くの企業では、募集要項に「最低限必要な情報だけを記載すればOK」と容易に考えているようです。

しかし、実際には企業の第一印象となる非常に重要な要素です。人間関係と一緒で、最初の印象が良ければ、企業についてプラスのイメージを持つでしょう。

一方で、ありきたりなことしか記載しないとそもそも認識すらして貰えません。

この記事を参考にあなたの企業がまさに求めている人材を引き寄せる募集要項を作成して見ましょう。

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