【高すぎます】採用コストの相場と削減するために知っておくべきこと

image_採用コストの相場と削減するために知っておくべきこと 求人・採用マーケティング

採用コストとは、企業が従業員を採用する際にかかる費用のことですが、あなたは自社の採用活動にどのくらい費用が発生しているか正確に把握していますでしょうか?また、かかったコストに対する応募数に納得されていますでしょうか?

採用コストを正しく理解すれば、コスト削減しながら応募者を増やすことも不可能ではありません。気になる方は最後までお読みになって、コスパの良い採用活動を実践されてください。

そもそも採用コストとは

採用コストとは、従業員を採用する際にかかる費用の合計のことです。多くの企業が「コストを削減したい」と考えているでしょう。しかしコストを減らした分だけ応募人数も減り、思ったような採用活動ができなくなってしまっては意味がありませんよね。

適正なコスト削減に取り組むためにも、まずは、「自社の採用コストがいくらかかっているのか」を正しく算出する方法を理解しておきましょう。

採用コストの計算方法

まずは採用コストの計算方法を解説します。採用コストには2種類あることを知っておきましょう。

外部コスト広告費や制作費など外部に支払う費用
内部コスト人件費など社内で発生する費用

「採用コスト=外部コスト+内部コスト」で計算ができます。2種類のコストについて例を挙げて解説します。

外部コストの例

外部コストの例を6点あげます。

・求人媒体への登録費や掲載費用
・エージェントへの成果報酬金
・スカウトサービスの利用料
・採用パンフレットや採用サイトなどの制作費
・面接時への交通費
・採用イベントの開催にかかる費用

外部コストとは、有料の採用サイトの利用で発生する費用や、採用に必要なコンテンツの制作費用、イベントへ参加するために必要な費用を指します。広告掲載や制作時には都度支払いが発生するので、コスト増減の把握がしやすいでしょう。

内部コストの例

内部コストの例を4点あげます。

・採用担当者の人件費
・面接担当者の人件費
・その他社員が採用に使った時間に対する人件費
・リファラル採用における社員へのインセンティブ

内部費用は、採用業務で発生する人件費の合計です。面接や打ち合わせ、イベント準備や出展などにかかる時間×時給、で計算ができます。

内部コストは外部コストに比べて正確な計算がしづらいといわれています。社員の給与に含まれるため、請求書などの記録に残ることが少ないからです。

採用コストを正確に計算するためには、目に見える外部コストの他にも、内部コストとして社内の人件費が発生していることを理解する必要があります。

新卒・中途の採用コストの相場は?

新卒と中途採用の相場は以下の通りです。

採用コストの相場(2019年)
新卒93.6万円
中途103.3万円
(参照:就職未来研究

相場の価格は、事業規模や業種によって異なります。新卒採用・中途採用の費用相場を「事業規模」と「業種」に分けて解説していきます。

・事業規模(従業員数)

・業種(建設業/製造業/流通業/金融業/サービス・情報業)

新卒1人当たりの採用コストの相場は93.6万円

新卒1人当たりの採用コストは、2018年度71.5万円・2019年度93.6円です。2020年以降は、コロナ禍で採用のオンライン化が進んだことで約3割の企業で経費が減少しました。

事業規模と業種別にそれぞれみていきましょう。

【事業規模別】新卒1人当たりの採用コスト相場

300人未満65.2万円
300~999人80.2万円
1000人~4999人72.9万円
5000人以上59.9万円
(参照:就職未来研究

従業員数の多い大企業に比べ、中小企業は20万円近くのコストがかかっているようです。知名度が高く、ブランド力でアピールできる大企業に比べ、中小企業が不利な状況にあることが想像できます。

【業種別】新卒1人当たりの採用コスト相場

建設業69.4万円
製造業69.7万円
流通業67.7万円
金融業84.8万円
サービス・情報業78.1万円
(参照:就職未来研究

業界を比較するとコストが高い業種と低い業種では15万円程度の差があります。専門スキルの獲得や高学歴が求められる業種では、コストの相場が高くなると言っても過言ではありません。

このような傾向が、中途採用の場合ではどう現れるのか説明します。

中途1人当たりの採用コストの相場は103.3万円

中途採用1人当たりの採用コストは、2018年度84.8万円2019年度103.3万円です。新卒採用と同様に、2020年度以降は採用のオンライン化により、約3割の企業でコストが下がりました。

事業規模と業種別にそれぞれみてみましょう。

【事業規模別】中途1人当たりの採用コスト相場

300人未満63.6万円
300~999人83.0万円
1000人~4999人108.5万円
5000人以上78.5万円
(参照:就職未来研究

新卒採用と比べ、大企業と中小企業の差が大きいことがわかります。中途採用の現場では、給与や福利厚生が充実している大企業がより優位な状況にあると言わざるを得ません。

【業種別】中途1人当たりの採用コスト相場

建設業97.8万円
製造業102.3万円
流通業55.2万円
金融業58.2万円
サービス・情報業86.8万円
(参照:就職未来研究

業種別の結果では、新卒採用と中途採用で逆の傾向が見られます。流通業のコストが低いのは変わりませんが、新卒でコストが低かった製造業が中途採用では最も高いコストがかかったという結果でした。この結果は、転職者にとって「製造業」や「建設業」が不人気の職種であることを反映していると考えられます。

新卒採用と中途採用では、以下のことがわかりました。

・中途採用の方が新卒採用よりもコストが高くなる
・新卒でも中途でも中小企業は大企業に比べて1人当たりの採用コストが高い
・新卒と中途でコストが高くなる「業種」が異なる

それでは、よりコストが高くなる中途企業に着目して、費用の内訳を説明します。

中途採用にかかるコストの内訳

中途採用のコストがどんな業務でどのくらい発生しているのか内訳を説明します。

内訳実績(2019年)比率
人材紹介294.5万円43.6%
求人広告144.4万円21.3%
説明会73.4万円10.8%
その他146.1万円21.7%

中途採用では、費用の60%以上が人材紹介や求人広告サービスに使われていることがわかりました。事業規模や業種によって実績額に差があると考えられますが、内訳の比率を参考に全体的な傾向を捉えてみてください。

採用コストを削減する7つのコツ

弊社で17年に渡り採用コストを下げるための分析を行った結果、以下の7つのコツを実行することが効果的だと感じました。

  • 離職率を下げる
  • リファラル採用を活用する
  • 広告媒体に頼らず自社サイトへの集客をマスターする
  • オンライン面接を活用する
  • SNSを活用する
  • 選考途中の離脱を防ぐ

全てを活用することは難しいので、以下のようなメリット・デメリットを踏まえた上で自社に最適なコストダウンの方法を実践してみましょう。

採用コスト削減方法メリットデメリット
離職率を下げる・採用コストが無駄にならない
・採用のミスマッチがなくなる
・社員が働きやすい環境が整う
・成果が出るまでに時間がかかる
リファラル採用を活用する・求人広告掲載費や代行サービス利用料が節約できる
・職場の雰囲気を理解した社員が直接紹介するので、採用のミスマッチリスクが下げられる
・採用までに時間がかかる
広告媒体に頼らず自社サイトへの集客をマスターする・他の求人媒体を使用する必要がなくなり、継続したコスト削減ができる・時間とコストが一時的にかかる
無料の求人メディアを活用する・無料で使用できる・設定にはプログラミングの知識が必要(Googleしごと検索)
オンライン面接を活用する・応募から内定までの工数と期間を短縮できる・対面に比べて雰囲気が伝わりにくい
SNSを活用する・無料で利用できる
・ダイレクトリクルーティングができる
・採用までに時間がかかる
・工数が増える
選考途中の離脱を防ぐ・人件費が削減できる・成果が出るまでに時間がかかる

それぞれの内容を詳しく解説します。

離職率を下げる

メリット・採用コストが無駄にならない
・採用のミスマッチがなくなる
・社員が働きやすい環境が整う
デメリット・成果が出るまでに時間がかかる

採用コストを削減するには、離職率を下げることが最も重要なポイントです。従業員が辞めるとは、つまり、その人を採用するためのコストが無駄になったということです。離職率を下げることで、長期的な採用コストを減らせます。

離職率を下げるために最初に取り組むべきことは、「採用のミスマッチ」をなくすことです。弊社でも、離職率を下げることに注力して、採用コストの大幅削減に成功した経験があります。

応募要項を見直し、ミスマッチな求職者からの応募が来なくなるような内容にすると、結果的に離職率が下がり、長期的なコスト削減ができます。ミスマッチ採用のリスクを下げることで、同時に、業績アップに貢献してくれる理想の人材からの応募が集まりやすくなることも見逃せません。

次に取り組むべきは、従業員が働く環境を整えることです。厚生労働省のデータによると、令和2年の離職率は14%です。

ここでいう離職率とは、全労働者数のうちその年に離職した人数を示しています。

つまり、自社の離職率が14%以上になっている場合は、注意が必要です。
以下のような対策をすることで離職率を下げる取り組みをしましょう。

<雇用管理に関する取り組み>

・有給休暇の取得を促進

・育児・介護・病気治療で離職した職員への復職支援

・能力開発機会の充実・従業員の自己啓発への支援

・経営戦略情報・部門や職場での目標の共有

・職場の人間関係やコミュニケーションの円滑化

・労働時間の短縮や働き方の柔軟化

・仕事と介護の両立支援

<ワーク・ライフ・バランス推進のための取り組み>

・労働時間管理・有給休暇取得・健康確保に係る研修や意識啓発

・休暇や急な早退が必要な際、従業員間で融通しあえるよう十分な人員数を配置

・部門間も取り組み状況の見える化・情報共有

・経営トップからの呼びかけや経営戦略化による意識啓発

・残業をさせず、有給取得を促す上司が評価される仕組みを導入する

・休暇が必要な際、従業員間で融通し合えるよう中期的な休暇予定を従業員間で見える化する

・NO残業デーを設置する

・休暇・急な早退等を申請しやすい職場雰囲気を作り出す

・育児休業制度や介護休業制度の利用促進

採用のミスマッチを減らすこと、企業として従業員が働きやすい環境を整えることで離職率が下がり、採用コストを安く抑えられることがわかりました。

リファラル採用を活用する

メリット・求人広告掲載費や代行サービス利用料が節約できる
・職場の雰囲気を理解した社員が直接紹介するので、採用のミスマッチリスクが下げられる
デメリット・採用までに時間がかかる

リファラㇽ採用とは、既存の社員に転職希望者を紹介してもらう採用方法です。採用コストは、紹介してくれた社員へのインセンティブのみなので、求人広告掲載や求人サービス利用料などの費用を削減できます。

就職未来研究所の調査では、一般的な中途採用のコストとリファラル採用のコストには1人当たり70万円~90万円もの差があることが明らかになりました。

・一般的な中途採用一名分のコスト:103.3万円(参照:就職未来研究
・リファラル採用一名分のコスト:10万円~30万円が相場

このように一般的な中途採用のコストと比較すると、多くても30%程度のコストに抑えられることがわかります。

広告媒体に頼らず自社採用サイトへの集客をマスターする

メリット・他の求人媒体を使用する必要がなくなり、継続したコスト削減ができる
デメリット・時間とコストが一時的にかかる

自社の採用サイトを充実させることも採用コストの削減につながります。自社サイトで採用情報を発信して、転職者を集められるようになれば、他の求人サイトや求人サービスを使う必要がなくなり利用料が削減できるからです。

ある総務省の調査によれば、新入社員の89.6%は企業のホームページを参考にしたということがわかっています。自社サイトを活用し、転職希望者に入社したいと思ってもらえるようにアピールすることは重要です。

弊社では採用サイトを工夫することで、求人効果が60倍になり、採用コストの大幅に削減することができました。採用サイトで集客できるようになれば、将来的に他の求人媒体を使用する必要がなくなり、今後も継続してコスト削減できるので、取り組むメリットは大きいでしょう。

無料の求人メディアを活用する

メリット・無料で使用できる
デメリット・設定にはプログラミングの知識が必要(Googleしごと検索)

無料の求人メディアを活用すれば、掲載費用をかけることなく採用情報を発信することができます。採用コストがあまりかけられない人にとっては強い味方になるでしょう。

無料のメディアの中では、「Googleしごと検索」がおすすめです。Googleで「正社員 求人」などと検索すると、検索結果に求人情報が表示されます。これが「Googleしごと検索」の仕組みで、Googleを利用する多くの人に見てもらえる可能性があります。

ただし、「Googleしごと検索」で自社の採用サイトや採用ページを検索画面に表示させるには、プログラミングの知識が必要です。プログラミングの知識がない場合は、簡単にGoogleしごと検索に登録できるサービスを利用するといいでしょう。

弊社でもGoogleしごと検索の利用相談を受け付けていますので、お気軽にご相談ください。

オンライン面接を活用する

メリット・応募から内定までの工数と期間を短縮できる
デメリット・対面に比べて雰囲気が伝わりにくい

オンライン面接も採用コストの削減に有効な方法です。対面での面接に比べ、双方の日程の調整がしやすく、応募から内定までの工数や期間の短縮ができると考えられます。

コロナ禍で採用のオンライン化が進み、約3割の企業が採用コストが削減できたというデータもあります。転職希望者にとっても、交通費や移動時間がかからないオンライン化は歓迎されているのではないでしょうか。

一方で、雰囲気が伝わりづらい・オンラインだけでは不安、という意見もあります。そういう場合は最終面接を対面の面接にするなど、面接方法を組み合わせると良いでしょう。

SNSを活用する

メリット・無料で利用できる
・ダイレクトリクルーティングができる
デメリット・採用までに時間がかかる
・工数が増える

無料で使用できるSNSで採用情報を発信することもコスト削減につながります。近年では多くの人が検索ツールとしてTwitter・Instagram・FacebookなどのSNSを利用しているので、SNS発信を充実させることで、多くの人に採用情報を届けられます。

SNSを活用すれば、企業が求職者へ直接DM送信等でアプローチをする「ダイレクトリクルーティング」で採用活動を進めることもできます。工数や時間はかかりますが、SNSの活用もぜひ検討してみてください。

選考途中の離脱を防ぐ

メリット・人件費が削減できる
デメリット・成果が出るまでに時間がかかる

選考途中での離脱や、内定後の辞退を減らすこともコスト削減に有効です。離脱者が減れば、採用側として応募者へ余分な対応をしなくてもよくなるので、人件費が削減できます。

離脱を防ぐためには、採用のミスマッチをなくす努力が必要です。応募要項を見直して、自社の条件や社風に合った人が応募してくれる内容になっているか検討しましょう。

採用コストの回収はどのように計算するのか

採用時にかかったコストの回収について考えてみましょう。

コストが回収できたという状態は、「雇った社員が生み出す利益」が「社員が働く上で発生する費用」を上回った状態のことです。まずは、「コスト」と「利益」になにが当てはまるか解説します。

コスト<初期費用>=採用時に1度だけ発生するコスト
・採用コスト
・研修コスト
<ランニングコスト>=入社後ずっと発生するコスト
・給与(基本給・手当・ボーナス)
・社会保険料(健康保険料・厚生年金・労災保険・雇用保険)
・機器(パソコン・携帯電話)
利益社員が生み出した売上

コストには、初期費用としての採用コストや研修コストのほかに、給与や社会保険料など入社後に継続して発生するランニングコストも含まれます。利益は、入社後の年数が増えるにしたがって増えると考えられます。ただし、入社後の研修期間は売上が発生しない可能性があるので、しばらくは売上0円の期間を想定すると良いでしょう。

計算式は以下の通りです。

売上の累計 -(初期費用+ランニングコストの累計)=回収額

回収額がプラスになった時点が、「コストが回収できた」時点だと言えます。あるデータでは、入社の30か月後にようやく回収額がプラスになったという結果があります。コストの回収にはそれなりの期間が必要だと理解しておきましょう。

採用コストについてのまとめ

採用コストについて、計算方法・費用の相場・コスト削減のコツ・コストの回収という観点で説明しました。中小企業の中途採用には、1人当たり100万円以上費用が必要で、コストの回収には3年以上かかるというデータもあり、「思っていたよりコストがかかる」という印象を持った方も多いのではないでしょうか。

自社に合った採用方法を取り入れたり、採用のミスマッチをなくしたりすることで、採用コストの削減ができます。限られた予算の中で、より優位に採用活動を進めるため、採用コストの観点を取り入れてみましょう。

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